馬の体のお話
ここでは馬の体に関するお話を色々していきたいと思います
最新のお話はブログの馬の体コーナーを見てくださいね
 
 馬の歯のお話
 皆様の大切な愛馬はお元気でしょうか?
 今回は健康管理の大切なポイントとして歯のお話をしたいと思います。  
「いやぁ、うちの仔は良く飼葉を食べるから歯は大丈夫だね」なんて思っている方も多いと思います。しかし、その飼葉食いの良い馬にこそ大きな落とし穴があります。
 通常、歯に何らかの問題が生じている場合、多くの馬で飼葉食いが悪くなったり、歯音が変わったり、飼い桶の中に噛みかえし(飼葉を噛んだカス)が沢山あったり、水桶で口を漱ぐ為にいつも水が汚れている等々の兆候が見られるようになります。その時点で獣医さんに相談することになるので、早期に問題が発見され治療することが可能となります。
 しかし、食欲旺盛な馬の場合、実際には歯に問題が起こっているにも関わらず、そうした兆候が現れてこないケースがあります。それは、飼葉をしっかりと噛まずに飲み込んでしまっているからなのです。
「そういえば、うちの仔も!」と思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。飼葉をつけるとアッという間に桶が空っぽになってしまう。そんな馬の場合こそ目が行き届かないことがあるのです。
 仔馬では1〜3才の間に乳歯の脱換(永久歯への生え変わり)がおこります。そんな時にはいつもより飼葉を食べなくなったりするものですが、食欲旺盛な仔は気にしません。歯が取れかけていても、欠けていても、歯茎から多少出血していても平気でいつものように飼葉を食べます。それに気づかないままにしておくと、永久歯の不正咬合(噛み合わせが悪くなる)が起こってしまいます。また仔馬成馬を問わず、体調を崩して疝痛(はらいた)を起こしやすくなったりします。 しっかりと噛まない事から栄養が十分に取り込めず、食べても食べても太らない(筋肉が発達しない)、運動能力が落ちたりする、イライラカリカリした落ち着きのない馬になる、ハミ受けが悪くなる、調教が進まないなどの弊害が生じます。
 歯の問題を放っておいて良いことは何一つありません。飼葉食いの良い馬であれば尚更、定期的なチェックが必要になることをお解かりいただけたのではないでしょうか。
  馬たちに気持ちよく生活してもらい、より高いパフォーマンスを引き出すためには日頃から十分に手を掛けるようにしたいものです。私たち獣医師はそのお手伝いをすることができます、いつでもご相談をお寄せください。
 
 馬の蹄のお話
蹄無くして馬は無しといわれるほどに馬にとって蹄は重要です。
しかし、硬い角質で覆われているため その中を見るのは難しいものです
ここに馬がいます  蹄の拡大
レントゲンを撮ると実はこのようになってます 
このままで歩き続けるとこの馬は肢が痛くて歩けなくなってしまいます。
蹄の骨にあわせて蹄を削る必要があります これを削蹄療法といいます。
このような骨の位置はレントゲンを撮らないと分かりません。
我々獣医師は必要に応じて装蹄師さん達と協力しながら治療をおこないます

馬のフィラリア症
皆さんと一緒に暮らしているワンちゃん達はちゃんとフィラリア予防してますか?
さて、ワンちゃんの心臓に寄生するこのフィラリア症は馬にも存在します
 馬のフィラリア症は症状も様々
 ワンちゃんたちのように心臓に寄生することは稀です。
 脊髄や脳に寄生したり 体のあちこちにこのフィラリアたちが入り込んでいきます。
 入ってしまった場所によっては き甲腫になったり 腰萎(腰ふら)になったりします。腰萎のような神経症状は予後不良になることも少なくありません。
 犬のフィラリア症と同じく 飲み薬等によって予防することが可能です。
 詳しくは獣医さんに相談しましょうね。
 

眼のお話
 草食獣である馬の眼は 瞳が横長になっているのが特徴です。犬や猫などの肉食獣の縦長の瞳 人のまん丸の瞳とも違います。草原で周りをよく見渡せるようになっています。
 よくみると瞳の上に黒い塊が認められます。 虹彩顆粒といってウマ科に特有のものです。
 虹彩顆粒の形はその馬その馬で異なるため、個体識別としても利用ができます。
 左の馬のように目脂を出している時は目の病気はもちろん体調が悪いこともありますので、よくみて上げて下さい。
 目脂がよく出て少し結膜が赤い時には目薬をしてあげることもありますが、鼻涙管という鼻と眼をつないでいる涙の通り道が炎症を起こして詰っている時もあるのでその時は獣医さんに相談してくださいね。
 
 馬の眼は魚眼レンズのようになっています。いきなり物が近づくと とても驚きますので、顔の近くに手や物をもっていくときには 必ず声をかけてあげるようにしましょう。

しもやけにご用心!!!
 風の冷たい季節になってきました。 馬たちの手入れをしていると 寒さが身にしみますね。
 さて 我々人間の手も寒くなるとしもやけや 皸が出来ますが、馬たちもにたような皮膚病が増えてきます。 そう ケイクンです。 一部ではアクトとも言われています。
 さてこのケイクン一番大切なのは予防です。寒いからといってこの時期手入れの手を抜いてはいけません。きれいに四肢を洗った後は完全に水分が取れるまでしっかりタオルで拭いてあげましょう。特に繋ぎの裏側 けづめの下側が重要ポイントです。
 それでもどうしてもケイクンができてしまう事があります。患部は清潔に保つ事が大切ですが、放っておくとケイクンの部分から細菌感染し 肢が腫れたり、発熱したりします。治りづらいようなら獣医さんに相談してください。
 また、寒い地方の馬場では不凍剤が使用されている事もあります。このような場所では必ず運動後は肢を洗って不凍剤を洗い流してください。
 そうそう、毎日馬の手入れをする私達人間も手が荒れますよね。 まめにハンドクリームを塗ったりと一所懸命に手あれを防いでいます。 
 馬に温泉治療のひとつとして イオウ成分の入浴剤を使用する事がありますが、正しい使い方をしていると、 手入れをしている人の手も荒れづらくなります。 ただし、その馬に温泉治療が適しているかは かかりつけの獣医さんに聞いてくださいね。

人参は大好きだけど
 馬達は人参が好きとよく言いますが、皆さんはどのようにして人参を馬たちに与えていますか?
 実はこの人参ですが時として命取りになる事があります。人参の太さは馬たちの食道とよく似た大きさのため時として 引っかかりやすくなり これを食道梗塞あるいは咽つまりといいます。
 馬はその体の特徴上 吐くことが出来ないためにこの咽つまりはとても馬たちに苦痛をもたらし、時として死に至るものなのです。
 人参は丸のまま飼い桶に入れてあげるか もしくは細長く切って与えるようにしてください。時としてすりおろし器ですりおろしてあげるのもいい事です。
 さてこの咽つまりですが、人参の他にも日頃食べている飼葉でなる事もあります。
 人参のような固形物の他 ヘイキューブや乾牧草でも詰まることも珍しくはありません。運動直後に休憩もないまま飼葉を与えたり、お腹がすいている時に 乾いた飼葉を与えたりすると特につまりやすくなります。運動後は馬が落ち着いてから、水を飲ませた後に与えるようにしてください。
 さて この人参馬なら誰でも生まれつき好んで食べるわけではありません。
 人参は美味しい!!!っていうことをわかって始めて馬は人参を食べるようになります。
  なので 人参を知らない馬にはすりおろして飼葉に入れてやったりして人参は美味しいんだよ と教えてあげるのです。
 咽詰まりは 物を食べた後に食欲が無くなり、前かきをしたり、発汗したり 咳をしたり鼻水や涎を出す事も多くあります。このような症状が現れたら、すぐに獣医師に相談してください。

糞便検査のススメ
 もうすぐ春です。 今年は暖冬で暖かい日が続きますが、日が一日一日長くなってきました。そろそろ競技会も増える頃で 馬たちもあちらこちらに移動する時期でもあります。
 皆さんは自分の愛馬たちの糞便検査はやってますか?
 消化管内寄生虫は馬たちに様々なことを起こします。
 食べても食べても太らない
 けづやが悪い
 お尻をこする。 お尻周りが脱毛する。
 時には一番恐い疝痛(腹痛)の原因となります。
 消化管内の寄生虫は虫下しで対応が可能ですが、あまり体調の悪い時の虫下しの投与は余計に体の調子を悪くさせる事もあります。
 気になるときには必ずかかりつけの先生に相談してください。
 また、いざ体調が悪くなってからの対応ではなく、定期的な糞便検査と虫下しの計画が重要です。

 
 馬のインフルエンザ
 インフルエンザは大変今議論されている感染症ですが、馬にも存在します。 
 馬に感染するインフルエンザは馬インフルエンザと言われ、人や鳥に関せするものとは別の遺伝子をもったインフルエンザウイルスです。ですので、馬インフルエンザが人に感染する事は通常ありません。 症状は発熱や鼻汁 咳など呼吸器疾患ですのでこれは人とよく似ていますね。
 また人あるいは鳥と同じ様に馬の馬インフルエンザも非常に感染が強いために家畜伝染病予防法では届出伝染病に指定されています。 また、競馬や競技会など公式の行事に出る馬たちはそれぞれの主催者によって、ワクチン接種が義務付けられています。
 このように非常に感染力の強いウイルスの場合ワクチン接種が非常に有効です。今、日本ではインフルエンザワクチンは初回は2回接種それ以降はおおむね半年に一度の接種が奨励されています。
 くわしくはお近くの獣医さんに聞いてくださいね

 
馬の日本脳炎 
 前回に引き続き馬たちのワクチンに関するお話です。
 前回のインフルエンザはインフルエンザの中の種によって感染しやすい動物が変わってきましたが、今回の日本脳炎は主に ヒト ブタ ウマに問題となる病原体です。
 日本脳炎ウイルスも脊椎動物全てに感染する事が出来ますが、ヒトとウマでは高い確率で脳炎を起こし、死に至ります。 その日本脳炎ウイルスを体内で増幅させるのが、ブタなのです。 感染したウマは脳炎を起こすために痙攣や狂奔を起こす事もあります。 
 日本では幸い近年ウマにおける日本脳炎の発症例は報告されていませんが、ヒトでは毎年数例の感染報告が日本でもあり、東南アジア等の国々ではまだ蔓延している病気です。厚生省ではブタの日本脳炎抗体を調べその蔓延を調べていますが、 まだ日本にも 日本脳炎ウイルスは存在しているのです。
 日本の馬の世界でも特に夏場はインフルエンザと同じく競技会や競馬に出るためにも日本脳炎の接種証明が必要となります。
 また、ウマは日本脳炎に対して敏感すぎるため、通常ブタで使用されるワクチンとは種類が異なります。 必ず専門の獣医さんに確認してワクチン接種してください。

 馬用の単独インフルエンザワクチンはウマインフルエンザワクチンと呼ばれますが、馬用の単独日本脳炎ワクチンは 不活化ワクチンと呼ばれます。(ブタに多いのは生ワクチン) もちろん2−3種混合のワクチンの場合にはウマ3種混合のような名称となっています。 
 
 馬の健康手帳
 さて、前回まで馬たちのワクチンについて少しお話しましたが、他にも地域や年齢によって 接種すべきワクチンがあります。また、 このようなワクチンを接種した時には獣医師より証明書が出ます。 多くの馬たちは一生のなかで 多くの旅をしますので、それまでの記録=履歴が重要になります。この記録の冊子が健康手帳といわれる冊子です。
 これがないと、競技会に出れなかったり 移動できなかったり色々面倒です。
これが皆が持ってる
健康手帳です

よく見ると
馬の
検査 注射
薬浴 投薬
証明手帳
とかいてあります
   
 
 アブや蚊と痒みの危険な関係
 夏になると全身かゆくてかゆくてしょうがない馬たちがいます。 体の皮膚はかさぶただらけで掻き過ぎて血がにじんでいることも少なくありません。
  以前夏癬といわれたこの病気は 寄生虫感染が原因と言われてきましたが 近年この病気の多くの原因は吸血昆虫に対するアレルギー反応であるという説が支持されています。
 吸血昆虫とは 身近なところでは 蚊やダニ サシバエ ノミ 虻等々様々ですが 馬では特にサシバエやクロアリなどが問題となっているようです。 しかし これらの昆虫だけでなく吸血昆虫全てが原因となります。 検査によって どの昆虫にアレルゲンを持つかも調べる事が出来ますが、もし、馬たちがぼりぼり体を掻いている様であれば まず 昆虫対策から始めるのも手かもしれません。
 さて 猫や犬におけるノミアレルギーと大変良く似ています。 吸血昆虫に吸血されると吸血された部位はかゆくなります。これは全ての馬や猫犬 あるいは人で起こる事です。 通常はかまれた所だけが痒くなるのですが、アレルギー反応は噛まれた所だけに留まらず 体全体にたいして 悪影響を及ぼします。この場合 サシバエ1匹とかのみ1匹とかの昆虫の数はあまり重要ではありません。(数が増えると症状は増悪化するでしょう) たとえ 昆虫1匹 2匹でも充分アレルギーを引き起こす原因となりうるのです。

最新のお話しは、馬の病院のブログでどうぞ

TOPに戻る